第9歩目公演『密会』

これまで、旅、歴史、異文化、それらを皮膚に触れるような場所で感じてもらう、
そのために色んなことにチャレンジしてきた。
まわりみち’39の伝えたいことを伝えるために、決めつけをおこなわないで済むような工夫をしたり、実際に起きた出来事を扱うなら普遍化した構造に落とし込んで複数の要素を再構成したり、その都度必要なことをやってきた。
当然、実在の人物やニュースになるような個別の事件をそのまま扱う(もしくは、そのように見える)作品は作らなかった。
それをするのであれば、やり方とか考え方とか全部変えないと、やりたくないと思っていた。

そのスタンスに真っ向からぶつかる企画。
実在事件…本来、そこには事実しかない。それらを知って、自分たちの明日に、いかなる形であれ、活かしたいつなげたいと思うのは自然なことだ。
でも、自分が知る前に、人が手を加えてしまってたら? それは、すごく嫌なことだ!

しかも、オオタケノさんを、わたしは知らない!知らない人だ!
でも、オオタケノさんが、どんな人か知らないけど、今までお世話になったいろんな人たちが「好きだ」と言ってる人だから、一回やってみよーと思った。
その人が実際に起きたことに対してどんな手を加えたのか。どうしてそうしたのか。
その作業を辿ることで見えてきたものをお客様の前に出してみるっていうのも、いいな、と思った。

今思えば、もっともっと演出めいたことをいっぱいしても、別によかったのかもなぁとも思うんだけど、でも。
実在事件を扱うことに対して、人が書いたものを扱うことに対して、一番最初なのだから。これで間違ってなかったとも思う。
私たちは、過去その時に起こった事実に対して、いいかげんなことはしたくない。

そのコンセプトに、座組のすべての人が、いっぱい応えてくれたなぁと思う。
『演出をするということ』についても考える機会をいただいた作品。

斜あゐり
 




























































































































→ 戻る(第9歩目公演 記録ページへ)